公開日 2023年02月17日
東大竹・葛原遺跡
遺跡の概要
- 所在地
伊勢原市東大竹字葛原1153番外 - 調査原因
宅地造成工事に伴う発掘調査 - 調査期間
令和4年4月1日~5月10日 - 主な時代
縄文、奈良、平安 - 遺跡の立地
伊勢原台地の東西にのびる丘陵の端部付近
本遺跡は、伊勢原No.1遺跡の範囲の南東端付近に所在し、これまでの周辺の調査では縄文時代の集落や古墳時代後期~奈良・平安時代の集落が確認されています。
今回の調査では、古墳時代後期~奈良・平安時代の竪穴住居跡3軒、土坑5基、溝状遺構2条、ピット14個が確認され、遺物は古墳時代後期~奈良・平安時代の土師器・須恵器・石製品(紡錘車)、縄文時代の土器が出土しました。
このうち1号竪穴住居跡は、規模が東西4.6m、南北4.1mの東西にやや長い方形で、床面付近から焼土や炭化物が放射状に認められたことから焼失住居と考えられます。カマドは北壁の中央付近に作られ、カマド左脇には規模90×60cmの楕円形の貯蔵穴と考えられる掘り込みが認められました。カマドは煙道部を楕円形状に壁の外に掘り込み、燃焼部等は住居内に棒状の川原石といわゆる棒状の切ロームを両袖先端に据え、それらに土師器甕を架け渡して焚口としていました。燃焼部内からは完形の土師器甕2個体が出土しました。
遺物は、カマド左脇から下半部を打ち欠いた土師器甕の上に土師器埦・甑が重ねられた状態で出土し、それらに隣接して完形の土師器鉢が、貯蔵穴内からは完形の土師器甑・坏が出土しました。この状況は土器をどのように収納していたかを知るうえで貴重なものと考えられます。また、東壁付近からは石製紡錘車が1点と、南壁の床面付近から完形の土師器坏が2点出土しました。
これらの出土遺物から本住居跡は古墳時代後期頃のものと考えられます。
なお、今回の調査では縄文土器が数点出土しましたが、その時代の遺構は確認されませんでした。