講演・スピーチ 平成29年市長施政方針

公開日 2017年08月14日

更新日 2017年08月14日

市長施策方針演説

とき:平成29年2月22日

ところ:平成29年3月定例会

平成29年度予算は、財政健全化を進めるとともに、第5次総合計画を着実に推進するという基本的な考えに基づき編成いたしました。これまで特に注力してまいりました「健康づくり」、「観光振興」及び「新たな土地利用」そして、平成28年度から新たに加えた「子育て環境づくり」の4つの施策を、一層、推し進めていくことを主眼といたしまして、市民福祉の向上はもとより、本市の未来に投資する予算といたしました。保育園等における待機児童の解消、ごみ減量化の推進や教育相談体制の充実など直面する諸課題にスピード感を持って対応するとともに、広域幹線道路の開通やインターチェンジの整備といった環境変化を好機と捉え、未来の伊勢原にとって必要な投資を継続しながら、財政健全化も着実に推進する予算としたところです。

施策の実施に当たりましては、引き続き、関係部署で組織した「連携・連動推進チーム」を中心に、市民の皆様や関係する機関とも連携・連動するとともに、組織改編による誰にも分かりやすい効率的で機能的な組織体制を構築し、確かな成果を獲得していく考えであります。

さて、我が国の経済見通しでございますが、国によりますと、平成28年度は、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続いているものとされ、また、平成29年度は、国の施策効果もあって、経済の好循環が進展する中で、景気回復が見込まれるとされております。

しかしながら、現在、本市の財政運営において、こうした回復基調を実感として捉えるまでには至っておりません。平成29年度予算において、市税収入は、個人市民税や固定資産税の増収による増を見込むものの、平成29年4月に予定されていた消費税税率10%への引上げの先送りやマイナス金利政策、また、交付税において、国は、全国ベースで減少を見込むなど、地方自治体の一般財源歳入を減少させる環境が継続しております。加えて、歳出面では、高齢社会の進展等による扶助費の増加が止まらず、一層、気を引き締めた財政運営が必要と認識しております。

こうした環境の中にあっても、市民生活の安定を第一に、福祉等に係る制度について、水準の維持・充実に努めた予算としたところです。

予算編成の基本的な考え方

平成29年度予算の編成に当たりましては、多額の財源不足が生じました。予算計上事業は確かな優先順位付けと費用対効果の最適化により、限りある財源の一層の重点化を図り、改めて事業の内容、実施方法等を精査し必要最小限の額としたところであります。また、私から各部局に対して、歳入増及び歳出減の見直しを指示し、市長査定において、その内容を聞き取り予算に反映したほか、国の平成28年度補正予算第2号を最大限に活用し、平成29年度に予定していた事業の一部を平成28年度予算へ前倒して計上することで、平成29年度予算における一般財源所要額の縮減を図りました。

これらにより一定の財源確保はできたものの、財源不足解消には至らず、普通交付税の代替財源である臨時財政対策債と財政調整基金からの繰入金を計上することなどにより財源補てんを図りました。

財政調整基金からの繰入れは、平成28年度当初予算より増加いたしましたが、残高確保と財源不足解消のバランスの中で慎重に検討し、災害など、不測の支出への備えとして必要な残高の確保に努めながら、必要最小限度において活用したものです。

現在、私たちの周りには、様々な不安が存在しております。国内経済につきましては、株価や為替の先行き不透明感に伴う景気動向に対する不安、また、熊本地震や糸魚川市大規模火災のような災害の発生に対する不安、そして、健康や子育て、暮らしの安全への不安などでございます。更には、我が国と政治的・経済的に、特に繋がりの深い米国での大統領交代や韓国における政情の不安定が我が国に与える影響など様々です。

第5次総合計画の着実な推進を通じ、でき得る限りの「安心」、そして、未来に向けた「希望」を市民の皆様にお持ちいただけるよう、「市民目線」と「現場主義」を念頭に「スピード感」を持って、市政の舵を取ってまいりたいと考えております。現在のように不透明感が強く、変化が早い時代にあってこそ、市民の皆様に一番近い基礎的自治体として、市に求められる期待と役割は、益々、重要でござます。

平成29年度も、引き続き、「住み続けたい」あるいは「住んでみたい」と実感していただける「選ばれるまち伊勢原」そして、伊勢原に住み、伊勢原で学び、伊勢原で働き、そして、伊勢原を訪れる誰もが、それぞれのお立場でそれぞれの「しあわせ」を実感することができる「しあわせ創造都市いせはら」の実現を目指してまいりたいと考えております。今後とも、市政発展のため、全力を尽くす所存でございます。

予算規模

それでは、本議会に提出いたしました平成29年度一般会計及び各特別会計予算案の概要につきまして、御説明いたします。なお、金額につきましては、100万円単位とさせていただきますことを御了承願います。また、比較増減は、平成28年度当初予算に対するものであります。

まず、予算規模につきまして申し上げます。

一般会計の予算額は315億3,300万円で、1.4%、4億3,300万円増となりました。

これは、子ども・子育て支援給付費や障害児通所支援事業費、生活保護費、また、小児医療費助成対象拡大の通年化等による扶助費の増や秦野市伊勢原市環境衛生組合に対する負担金の増といった、いわば義務的な経費の増のほか、伊勢原北インター周辺地区や伊勢原駅北口周辺地区整備といった投資的な経費の増、認定こども園及び民間保育所整備に対する支援など直面する課題への対応、また、住民票の写し等のコンビニ交付導入といった市民の皆様の利便性向上に係る経費の増などによるものです。

特別会計の予算額は、5会計合計で243億9,600万円で、0.1%、1,400万円増となりました。

一般会計と特別会計を合わせた全会計の予算額は559億2,900万円で、0.8%、4億4,700万円増でございます。

次に、一般会計予算の概要につきまして申し上げます。まず、歳入の状況でございます。

  • 一般財源額は、215億3,700万円で、0.7%、1億4,200万円増となりました。譲与税及び各種交付金が減の一方、市税及び財政調整基金繰入金の増等によるものです。

続きまして、予算の科目別に主なものを申し上げます。

  • 市税は、1.4%、2億3,100万円増となりました。
  • 法人市民税について、景気の先行き不透明感や市内主要法人の減益見通し等により、マイナス6.7%、1億700万円減を見込む一方、個人市民税は、雇用状況の改善や賃金の上昇等に伴い、2.4%、1億4,900万円増を、また、固定資産税は、小規模住宅の新増築や市内企業の設備投資持ち直し等に伴い、2.3%、1億5,800万円増を見込んだことなどによるものです。
  • 地方譲与税、地方交付税及び各種交付金につきましては、平成28年度の決算見込みなどを基に計上し、マイナス8.8%、2億7,400万円減を見込んでいます。
  • 国庫支出金は、子ども・子育て支援給付費や障害児通所支援事業費など扶助費に加え、認定こども園等整備に伴い、5.9%、3億1,100万円増となりました。
  • 寄附金は、ふるさと納税について、返礼品制度導入に伴う、まちづくり市民ファンド寄附金の増により、509.3%、8,200万円増となりました。
  • 繰入金は、178.6%、3億5,600万円増となりました。
    財政調整基金及びまちづくり市民ファンド寄附金積立基金からの繰入れが増となったことなどによるものです。
  • 市債は、マイナス12.9%、2億5,100万円減となりました。
    認定こども園等整備に伴い民生債が増の一方、仮称.桜台方面公園用地取得の完了等による土木債の減や臨時財政対策債の減等によるものです。

続きまして、歳出につきまして、性質別に主な内容を申し上げます。

  • 人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費は、3.0%、5億700万円増となりました。
    人件費が横ばいの一方、扶助費及び市債償還元金が増となったことなどによるものです。
  • 普通建設事業費は、マイナス2.9%、9,100万円減となりました。
    認定こども園等整備に伴う増の一方、国の平成28年度補正予算第2号の活用により、平成29年度に予定していた事業の一部について、平成28年度予算へ前倒して計上したことや、仮称.桜台方面公園用地取得及び総合運動公園体育館床面改修工事の完了などによるものです。

続きまして、各特別会計予算の概要につきまして申し上げます。

  • 国民健康保険事業特別会計は、1.0%、1億1,700万円増となりました。
    医療費の増加に伴う、共同事業拠出金の増加などによるものです。一般会計からの繰入金は、マイナス1.7%、2,000万円減となりました。
  • 下水道事業特別会計は、2.5%、1億1,100万円増となりました。
    第3号公共下水道管渠整備事業費の増加などによるものです。一般会計からの繰入金は、マイナス9.8%、1億1,900万円減となりました。
  • 用地取得事業特別会計は、マイナス99.7%、3億3,700万円減となりました。
    伊勢原駅前線整備事業用地取得費の皆減によるものです。一般会計からの繰入金は、マイナス50.0%、100万円減となりました。
  • 介護保険事業特別会計は、1.2%、7,500万円増となりました。
    介護予防・生活支援サービス事業費の増加などによるものです。一般会計からの繰入金は、2.1%、2,100万円増となりました。
  • 後期高齢者医療事業特別会計は、4.2%、4,800万円増となりました。
    ​​対象者の増による保険料等納付金の増加などによるものです。一般会計からの繰入金は、2.5%、500万円増となりました。

平成29年度 主な施策

次に、平成29年度の主な施策につきまして、第5次総合計画中期戦略事業プランの「暮らし力」、「安心力」、「活力」、「都市力」、「自治力」の5つの施策体系に沿って御説明いたします。

「暮らし力」の施策

「生涯にわたって健康に暮らせるまちづくり」の取組

更なる健診受診の動機付けのための「健康バス」の実施回数の増や医療講座の開催、健康相談を実施いたします。また、クルリン健康ポイント事業など健康づくり・体力づくりの推進やがん検診の土曜日・日曜日の実施回数を増やすなど、「自ら取り組む健康づくり」を推進いたします。

「みんなで支え合う福祉のまちづくり」の取組

高齢者の社会参加の場として、介護支援ボランティアポイント制度を導入し、地域への貢献、やりがいや生きがいを持つことにより介護予防を推進するなど、「高齢者の地域生活支援の充実」を図ります。

「子どもを産み育てやすいまちづくり」の取組

妊婦健康診査の受診者負担に対する助成額の増額や出産後の母子の個別訪問の実施など、「子育て家庭への支援の充実」を図ります。

また、認定こども園及び民間保育所整備の支援により、待機児童の解消を推進し、「多様な働き方が選択できる保育の充実」を図ります。

「子どもや若者の成長と自立を支えるまちづくり」の取組

子どもたちが、放課後に安全に過ごせる場を充実するため、放課後子ども教室を増設し、「次代を担う子ども・若者の育成支援」を推進いたします。

「子どもの生きる力をはぐくむまちづくり」の取組

複雑・多様化する相談に適時・適切な対応を図るため、教育相談員を増員するとともに、集団への適応などに課題のある児童を対象とした「まなびの教室」を増設し、「きめ細やかな教育」を推進いたします。

「いつまでも学び生きがいがもてるまちづくり」の取組

本年度、日本遺産に認定されました「大山詣り」や改修を完了した日向薬師宝城坊本堂などの貴重な文化財を生かした地域活性化に取組みながら、「歴史・文化遺産の継承」を推進いたします。

 

「安心力」の施策

「災害から市民のいのちを守るまちづくり」の取組

防災行政用無線屋外子局の増設及びデジタル化、車載型デジタル移動通信システムの整備など、災害時の情報伝達体制の一層の充実を図るとともに、桜台地区に防災機能を備えた街区公園の整備を進め、「いざという時の危機対応力の強化」を推進します。

また、公共下水道につきましては、汚水幹線の耐震化やネットワーク化による減災対策とともに、集中豪雨時における浸水被害の軽減対策に取組み、「被害を最小限に抑える減災対策」を推進いたします。

「暮らしの安全を守るまちづくり」の取組

防犯カメラを増設するとともに、LED型防犯灯を必要箇所へ新設し、省エネルギー化と合わせ、「地域とともに取り組む防犯対策」を推進いたします。また、消火活動に不可欠な消火栓を増設し、「迅速で適切な消防・救急体制」を充実いたします。

「活力」の施策

「地域の産業が盛んなまちづくり」の取組

企業誘致活動に加え、中小企業の販路拡大や商店街の活性化支援のほか、下肢支援ロボットによる「大山詣り」実証実験など、ロボット活用の新たな可能性を模索する事業展開を図り、「地域を支える商業・工業の振興」を推進いたします。

「多くの人が訪れる賑わいのあるまちづくり」の取組

大山地区での広域ハイキングルート「おおやまめぐりルート」の更なる活性化、駐車場情報及び交通情報の提供や観光客の滞在時間延長に向けた取組、また、雨でも楽しめる観光メニューの提案など、平成大山講プロジェクトに取組みます。また、日向地区については、日向薬師宝城坊本堂の改修完了や「大山詣り」の日本遺産認定を契機に、魅力ある地域資源の活かし方を検討するなど、「伊勢原ならではの観光魅力づくり」を推進します。

「都市の骨格を支えるまちづくり」の取組

「地域特性を生かした新たな産業基盤の創出」に向け、東部第二土地区画整理推進事業では、土地区画整理組合に対する技術的援助や財政支援を行います。また、北インター周辺地区まちづくり推進事業では、事業実施に向けた計画素案の作成などを進めます。

更に、伊勢原駅北口周辺地区については、暫定のバス乗降場整備や街区ごとの事業計画の検討調査を進め、「交流がひろがる拠点の形成」を推進いたします。

「都市力」の施策

「みんなの努力で環境にやさしいまちづくり」の取組

国民運動「COOL CHOICE」に基づき、温室効果ガスの削減や省エネルギー対策の普及啓発に努めるとともに、これまで、燃やすごみとしてきた剪定枝などの資源化を開始し、「低炭素・循環型社会の構築」を推進いたします。

「安全で円滑な移動ができるまちづくり」の取組

子どもや高齢者、障害のある方など誰もが、安全で円滑に移動できるよう、歩道やグリーンベルトを設置するなど、「バリアフリー対策」を推進いたします。

「便利で機能的なまちづくり」の取組

都市計画道路田中笠窪線の整備や公共下水道の整備を進め、「都市の機能を高める基盤施設整備」を推進いたします。

また、橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、震災時に緊急輸送路となる橋りょうを計画的に修繕するほか、下水道管きょの計画的な更新等に向けた計画策定を進めます。公園施設については、公園施設長寿命化計画に基づき、テニスコートなどスポーツ施設の更新や老朽化した遊具の更新を行うとともに、総合運動公園の再整備に向けた方針の策定に取組み、「公共施設の効率的な活用と維持管理・保全」を推進いたします。

 

「自治力」の施策

「地域の力が発揮できるまちづくり」の取組

市と市民活動団体の協働による提案型協働事業や地域集会所の修繕に対する補助などを通じた地域活動の支援等により、「市民や様々な団体との市民協働」及び「多様なつながりで支える地域運営」を推進いたします。

また、マイナンバーカードを利用した各種証明書のコンビニ交付導入など、市民の皆様の利便性向上に取組み、「市民に身近な市役所づくり」を推進いたします。

「次代へつながる確かな行財政運営ができるまちづくり」の取組

納税コールセンターの業務拡大などにより、市税等徴収率の更なる向上に努めるとともに、事業公社経営健全化計画に基づき、債務の計画的な縮減を図り、「健全で安定した財政運営」を推進いたします。

 

以上、第5次総合計画中期戦略事業プランの主な事業につきまして、5つの施策体系に沿って御説明し、平成29年度の施政方針並びに予算編成大綱を申し述べさせていただきました。

「しあわせ創造都市いせはら」の実現に向け着実に進んでまいりますので、議員の皆様を始め、市民の皆様の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。

細部につきましては、各担当の部長から説明させますので、御審議の上、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

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