講演・スピーチ 市長所信表明

公開日 2020年10月22日

更新日 2020年10月22日

市長所信表明

とき:令和2年10月14日

ところ:令和2年10月臨時会

令和2年10月臨時議会の開会にあたり、お許しをいただきまして、3期目の就任のご挨拶と、所信の一端を述べさせていただきます。
 私は、さきの市長選挙におきまして、市民の皆様を始め、各方面から温かいご支援を賜り、三たび、市政を任せていただくことになりました。
 皆様からの期待と信頼に応えるべく、市民生活、伊勢原の未来に対して責任を果たすとともに、ふるさと伊勢原の更なる発展のため、今後とも全身全霊を注いでまいる所存でございます。

私は市長として2期8年、第5次総合計画に掲げる将来都市像「しあわせ創造都市いせはら」の実現に向けて、着実に諸施策を推進するとともに、一貫して現場主義に徹し、本市が直面する課題一つひとつに対して、常に市民目線で、果断に対処してまいりました。
 これからも議員各位を始め、多くの皆様からのお声に耳を傾けながら、初心を忘れることなく、真摯に市政を推進してまいります。

さて、昨年12月、中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は、グローバル経済の波に乗り、瞬く間に拡がり、全世界に脅威と深刻な危機をもたらしました。その猛威は世界中で止まるところを知らず、今もって完全な終息の目処は立っておりません。
 そして、わずかずつではありますが、市内においても感染者は増えており、予断を許さない状況が続いております。
 こうした事態に対処するため、本市におきましては、国策である「特別定額給付金」の支給等を迅速に執行するとともに、感染拡大の長期化を見越し、7度にわたる補正予算を組み、議会のご理解をいただきながら、「感染拡大防止対策」「市民生活への支援」「雇用の維持と事業の継続」を柱とする、独自の支援策にも取り組んでまいりました。

5月の臨時会では、県の休業要請に応じた施設を賃借する事業者の皆様に対し「感染症拡大防止協力金」を支給する事業等を、6月の定例会では、支援策に充てるため減額いただいた議員報酬の財源を活用した「感染症予防対策事業」に加え、「小規模事業者への臨時給付金」や「ひとり親家庭等への臨時特別給付金」の支給などを含む補正予算を議決いただきました。
 9月の定例会では、感染拡大防止と経済活動との両立を図るため、「妊婦特別給付金」の支給や「プレミアム付商品券」の発行等により、生活支援や経済対策を拡充強化するとともに、「新しい生活様式」を踏まえた危機に強いまちを目指し、「避難所等の感染防止対策」「キャッシュレス決済の推進」「ICTを活用した教育の推進」「緊急観光支援」などを含む補正予算を議決いただきました。
 このように市民生活各般に細やかに目配りしながら、10億円を超える独自の緊急支援事業に切れ目なく、取り組んできたところであります。

内閣府が発表した今年4月から6月のGDP(国内総生産)の速報値では、実質成長率が前期比でマイナス7.9パーセント、年率換算で28.1パーセントの減となり、リーマンショック後の平成21年を超える、戦後最悪のマイナス成長となりました。こうした状況は、市内経済にも同様に深刻な影響を及ぼし、自主財源の根幹である市民税の大幅な減収は必至であります。
 こうした極めて苦しい状況下でありますが、市民・事業者の皆様は、長引くコロナ禍を乗り越えようと、自助努力により日々戦っておられます。また、知恵を出し合い、地域の連帯・共助により困難を克服しようと頑張っておられます。
市といたしましても、この難局から市民生活を守り、地域経済の立て直しを図るため、今後も国や県の対策を注視しながら、必要な支援に取り組んでまいる考えであります。

一方で私は、この危機を、伊勢原が成長するための試練として受け止め、今後の市政運営に当たっていかなければならないと考えております。
 感染症が世界の歴史を変えた事例がいくつもございます。中世ヨーロッパでは、ペストの流行によって人口・社会構造が大きく変化した結果、ルネサンスがもたらされ、20世紀初頭にはスペイン風邪が、第一次世界大戦の終結を早めたとも言われます。感染症のまん延は、人々の意識や価値観、行動などに大きな変化をもたらしますが、今日の新型コロナウイルス感染症においては、ポストコロナ社会が時代のひとつの転換点になるものと認識しております。
 今般の感染症の拡大は、テレワークやワーケーションなどの新たな働き方を促しました。これらの普及によって、都心に住む必要性が薄まり、東京一極集中が是正される動きもあります。東京近郊にありながら自然豊かな本市は、こうした新たな働き方に適した条件が揃っております。シティプロモーションの取り組みを一層進め、伊勢原の魅力や可能性を積極的に発信し、市域内への活力として取り込んでまいりたいと考えております。

災禍の際には、社会における諸課題が顕在化するといわれますが、浮き彫りになった脆弱さを補強するため、かつてないスピードでデジタル社会への移行が進んでおります。発足した菅内閣におきましても、重要政策にあげられておりますが、社会のデジタル化は、感染不安を低減するだけでなく、経済活動の効率性、生産性を高めるものであり、これからの行政サービスにとりましても不可欠なものです。行政のスマート化・一層の行政手続のオンライン化など、新たな時代の流れを取り入れ、市民福祉の向上へと繋げてまいりたいと考えております。

さて、こうした中、昭和46年に県内15番目の市として誕生した本市は、半世紀の歳月を重ね、令和3年3月1日に、市制施行から50年目の節目を迎えます。
 秀峰大山の裾野に広がる本市は、古来より定住の地として選ばれ、恵まれた自然環境や温暖な気候、交通環境の良さなどから、首都圏近郊都市として発展し、市制施行当時、4万5千人であった人口は、現在では10万人を超えるまでになりました。
 本市の発展にご尽力いただいた諸先輩、関係各位に敬意と感謝を表しますとともに、先人たちが紡いできた歴史と文化を次代に継承し、まちの礎をより確かなものとすべく、力強く市政を前進させ、積み上げていくことが私に課せられた使命であると考えております。
 将来にわたって住み続けたいまちであり続けられるよう、現在の伊勢原に暮らす皆様に寄り添うことはもちろん、将来の伊勢原に住む市民の暮らしに思いを馳せながら、この素晴らしいふるさとを発展させ、未来に引き継いでいく責任があります。今なすべきことはもとより、中長期的な課題にも真剣に向き合い、10年先、50年先を展望した、持続可能なまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。
社会経済の動向を的確に受け止めながら、第5次総合計画の総仕上げを行うとともに、本市を取り巻く様々な環境変化を見定め、明るい未来へと繋げられるよう、自ら先頭に立って、しっかりと取り組んでまいる所存であります。

これまでに蒔いた希望の種が成長し、実を結びつつあります。その実がさらに成長して、新たな希望に繋がるよう、これまで築いてきた土台を足がかりに、更なる高みを目指して、歩みを進めてまいります。
 3期目の市政運営におきましては、未来への希望あふれる伊勢原の実現に向け、これまでの取り組みを推進すべく、自らに課した4つのテーマがございます。喫緊の課題である感染症対策を含めて、その一端を申し述べます。

1つ目のテーマは、「伊勢原市の財政を健全化する」ということであります。
 私が市長就任前の平成23年度と、直近の平成30年度の決算を比較すると、財政調整基金残高では16億2300万円の増、市債残高では50億2300万円の減、公社債務は30億9100万円の減、将来負担比率は66.4ポイントの減となっており、経常収支比率を除く、ほぼ全ての財政指標等において改善がみられております。
 しかしながら、財政健全化の取り組みに終わりはありません。行政にとりまして、常に取り組んでいかなければならない大きな課題であります。
 このため、安定的に税収を確保するための財政基盤を強化すべく、産業用地の創出や企業誘致を進めるとともに、費用対効果を常に検証し、施策の優先順位を一層見極めながら、予算の重点化を行い、歳出の削減を図ってまいります。
 市独自の感染症対策の実施におきましても、国の財政措置の活用を最大限図ってきたところでありますが、今後もこうした特定財源を積極的に活用するとともに、恒久的な税財源を確保するため、市長会等を通じ、地方財政制度の改善に向けた要望活動を継続してまいります。

2つ目のテーマは、「市民の生命と健康を守る街づくりをさらに推進する」ということであります。
 これから冬場にかけては、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されます。国・県の施策を踏まえ、感染拡大防止の観点から、適切に対応してまいります。さらに、恵まれた地域医療体制を生かし、感染拡大時の医療を確保するための設備やオンライン診療の導入支援など、感染症対策の充実を図ってまいります。
 また、市民の健康寿命の延伸を目指し、疾病の早期発見・予防に向けて、今年度より対象拡大した肝炎ウイルス検査や、コロナ禍であっても受診しやすい環境整備など検診体制を充実するとともに、市民の自主的な健康づくり活動を支援してまいります。

災害対策にも十全に備えなければなりません。首都直下型地震や南海トラフなどの巨大地震、気候変動に伴う豪雨災害・土砂災害から、かけがえのない市民の生命・財産を守るため、県との連携を一層深め、ご支援をいただきながら、河川整備等のハード対策を進めるとともに、ソフト対策としてハザードマップ等を活用した警戒避難体制の整備など、本市の防災・減災対策を推進してまいります。
 また、完成間近の中央備蓄倉庫の活用を図り、自主防災会や企業と連携して、地域の防災力を強化するとともに、避難所における感染症対策についても必要な整備を進めてまいります。

3つ目のテーマは、「地域産業、経済、観光のさらなる活性化を推進する」ということであります。
 これまで申し上げたように、コロナ禍から地域産業の回復・再生を図るため、国や県の施策動向を注視しながら、今後とも必要な支援策を講じてまいります。
 特に、観光面におきましては、これまで国際観光地を目指した取り組みを推進してまいりましたが、感染症のまん延により当面、インバウンド需要は見込めない状況であります。開放感のある自然や、歴史文化的な魅力など、改めて、本市の観光資源の優位性を生かし、身近で安心な圏内観光に基軸を移しながら、引き続き、大山・日向・比々多を核とした観光振興に取り組んでまいります。
 一年延期された東京オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては、先般、簡素化のうえ開催する方向性が示され、聖火リレーにつきましても、来年6月28日に本市を通過することが発表されました。今後の動向を踏まえ、地域の活性化に結び付けられるよう、調整を進めてまいります。

今後、少子高齢化が一層進行する中、持続的にサービスを提供していくには、活気に満ちた、足腰の強いまちづくりを進めていく必要があります。令和5年度の新東名高速道路の全線開通をにらみ、奨励措置の更新・拡大により企業立地を促進し、雇用の創出を図ってまいります。市内において魅力ある就業の場を確保し、定住や転入を促進することで、まちの活力の向上と、将来にわたる安定した財政基盤の強化に繋げてまいります。
 さらに、今後のまちづくりを大きく前進させるため、伊勢原大山インターチェンジ周辺に市内第4の産業拠点を形成し、本市の経済発展に資する企業を誘致するとともに、観光資源・地域産業と連携した土地利用を図ることで、産業全体の活性化を図ってまいります。

また、道路ネットワークの骨格となる都市計画道路田中笠窪線の整備を始め、伊勢原大山インターチェンジにアクセスするための県道の整備、慢性渋滞となっている国道246号のバイパス整備など、生活の利便性の向上とともに伊勢原の成長を促すためのインフラ整備を促進してまいります。
 さらに、都市機能の向上を目指し、魅力ある交流拠点の形成とともに賑わいを創出するため、伊勢原駅北口周辺の整備促進にも取り組んでまいります。

4つ目のテーマは、「子育て世代が住みやすい街づくりをさらに推進する」ということであります。
 これまで待機児童の解消に向け、保育所や認定こども園等の整備に対する支援を行い、保育の受皿を拡充してまいりました。今後は、保育士等の確保に努めるなど、受け入れ体制の充実を図ってまいります。
 小児医療費助成制度につきましては、今月の診療分から、入院医療費に加え、通院医療費に係る助成対象を中学生まで拡大し、子育て家庭への支援の充実を図ったところでございます。
 また、本日より、桜台地区に「つどいの広場いせはら」を開設したところでもありますが、子育て中の親子が気軽に集えるコミュニティスペースを運営するとともに、今年度、市庁舎内に開設した「子育て世代包括支援センター」を拠点として、妊娠期からの切れ目のない相談支援を行うなど、安心して子どもを産み、育てられる環境づくりを、今後とも着実に進めてまいります。

また、国のGIGAスクール構想を受け、今年度中に、児童・生徒に一人1台のモバイル型タブレット端末を導入することといたしました。未来への投資として計画を前倒しし、ポストコロナ社会を見据えた情報活用能力の育成を図るとともに、個々の特性に応じた学習活動の充実に役立てていただくものであります。
 さらに、令和3年度からすべての中学校で給食を実施するための準備や、トイレ改修などの施設改良を進め、安全で快適な教育環境の整備を図ってまいります。

また、一部供用開始しているところでありますが、子育て世代を始め、市民の皆様の憩いと安らぎの場とするため、多世代交流や冒険遊び等のゾーンを備えた空間として、総合運動公園を生まれ変わらせるリニューアル工事を実施しております。令和4年度の全面完成を目指し、今後も計画的に整備を進めてまいります。

縷々申し上げましたが、長期化の様相を呈する新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期するとともに、市民一人ひとりが伊勢原への一層の愛着を深め、市民としての誇りを育みながら、未来に希望を持って安心して暮らすことができるよう、職員とともに、誠心誠意努力を重ね、多くの方から「暮らしたい」「働きたい」「訪れたい」と思われる、まちづくりを目指してまいります。
 議会の皆様方には、今後とも特段のご指導とお力添えを賜りますよう、心からお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。

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