第二次中間提言 7 行政のプロの育成

公開日 2010年04月01日

更新日 2016年05月27日

伊勢原市行財政運営改善推進委員会 意見概要

7 行政のプロの育成

【各意見の委員会区分】

第一小委員会:[□]第1回、[○]第2回、[◆]第3回、[◎]第4回、[▽]第5回、[■]第6回

第二小委員会:(□)第1回、(○)第2回、(◆)第3回、(◎)第4回、(▽)第5回、(■)第6回

全体会: ▼ 第9回、 ★ 第10回

[基本的な考え方]

[■]民間では採用後10年間はジョブローテーションで色々な仕事を経験する。それ以降は本人の自己申告で本人がこれをやりたいという希望を3つまで申告し、必ずしも第一希望にはならないが、それを活用した人事を行う。自己申告で能力がないのにこれをやりたいといって評価が悪かったらはずされる。その点はかなりドラスティックにやる。ジョブローテーション期間はやはり必要だろう。
→管理職前の職員の意向は確認している。市役所の業務は多様で目標の管理なども全員を対象とする一律の勤務評価制度はできていない。管理監督職になれば、それなりの基準で評価できる。

[■]職員の異動希望調査が人気投票になってあそこがいいというのは、市の職員でなくてもいい仕事を求めているのではないか。市の職員の配属先に、例えば子ども科学館に異動したいと希望して、希望が叶って楽しくやれれば、それは別に行政マンでなくてもよくて、子どもと遊んだりする専門の人の方がいいわけで、行政マンとしての資質・能力が問われるものではない。それは外部の人でもかまわない。職員でなくてはいけないものとそうでないものの峻別が先。自動車の運転員も公務員だから運転がうまいわけではない。

[■]新採用後10年間の職員の適性発見期が長いかどうかは別にして、誰が発見しているのかという点も重要。評定者としての適性が必要。外資系企業は厳しいが、人事制度は結構良くできている。人事は複眼で直属上司とプロパーの評価だけをする人とが別にいる。直属上司から上がった評価は×でも、人事の専門家が仕事ぶりを評価したら○だと、もしかしたら直属上司が悪いのかも知れない。あるいは本人の適性が生かされているのかどうか、業績目標のない立場の人が聞いてあげなければいけない。

[■]行政でも住民との対応でトラブルが起きるとそのとき迷惑を受けた上司はこいつはとんでもないやつだと思うだろうが、しかし、もしかしたらそうではないかも知れない。そういう意味では別の目で見ることが必要。

[■]「行政のプロ」については、いくつかのことを一緒にやらなければいけない。行政のプロということだけをテーマにしてやろうとしても難しいからこれも重要な課題。評価もあるし処遇もある。企画とか立案の仕事だとそれほどトラブルにならないからうまく文章が書ければ百点になり易いが、福祉だとか、税の徴収だと百点というのはあり得ないので、それは評価の仕方がおかしいわけで、何をもって百点とするかという基準がきちっとしていない。そうしないと本当に行政の職員にやってもらわなければならない仕事をやるところが不人気職場になってしまう可能性がある。

[■]行政では外部の人間による人事評価を入れることは難しいので、現場の人がよく見ておいてもらうしかないか。

[■]職場の中の人でもかまわないが、自分でラインを持っていない人で、しかもそこにずっといると変なプロになってしまうから、例えば財政課長をやっていた人が2年間色々な職員の自己申告を受けたり、職員に対して接したりという人が3、4人でもいてくれれば。例えば上司が5点満点で3を付けているときはいいが、1を付けたときには何人かの人がきちっと面接をしてあげて何で1なのかということをやってあげるとか。あるいは、まるで違った職種に移りたいといっている時には、その本当の理由、意味は何なのかということも必要。それは職員の福祉のためにやるのではなくて、そういうことをやることが市民サービスの向上に結びつく。嫌々仕事をされても困る。

[■]行政では達成感を味わっていない職員が8割ではないか。民間企業だとものすごく厳しい職場のほうが達成感を味わえる。営業だとか、銀行だと貸し付けだとか。それは不良債権になることもあるけれども、中小企業が大きく伸びると銀行マンで良かったという達成感がある。そういう何かを出してあげることが重要である。

[■]職員の採用試験は結構厳しいようだが、昔は縁故採用が多かったと市民の間では一般的にいわれていて、そうすると職員の質を高めることが難しいし、採用試験にどの程度透明性があるのか。
→職員の採用試験の結果は公表している。現在はそこまで透明性を高めている。一般事務職は、一次試験で一般教養、専門試験、それから適性の試験を行う。公務員試験は特殊で引っかけ問題で落とすための試験になっている。専門学校で公務員試験の受験勉強をしている者の成績がよい。一次試験を通ると二次試験はグループ討議で、人間性、自己主張などを見る。二次試験ではそれほどふるい落とさずに三次試験で面接を行う。市外からの受験者も当然残るが、伊勢原市の試験に合格した者は、ほかも受かっているのが現実で、市外の人は伊勢原に来るよりも横浜や川崎など他の自治体に行ってしまうケースが多い。

[■]一般的にろくに応募者が来ないときは人事はものすごくいい人を採っていて、なまじ一杯人が来だすと採用担当者は自己満足と遊びが生じてろくな者が採れなくなる。つまりあらゆる素養があって、全人格的に良さそうだというのを採ってしまう。それは毒にも薬にもならない。逆のときは、個性的な癖がある奴、こいつは問題があるけれどもこれだけなら使えるという者を採る。それが生きてくる。一流会社になればなるほど、学校秀才が多くなって、それでその会社が伸びたかというと伸びていない。企業が伸びるときは、強者(つわもの)を採っているとき。

[■]企業の面接では、一番若手の面接が一番有効でよく分かる。役員面接で受かった社員は要するに平均的。若い人の面接は、俺・お前の話をするから全部地が出てくる。社員は若手でもプロなので、この分野では使えるとか、そこにポストがないから切りましょうとか、そういうものを出してくる。

[■]行政マンで本当のプロを養成しようとしたら、知識とか技術じゃなくて、意識とか、その仕事に対する思い入れのほうが、例えば福祉なら法律知識よりも、何があっても、たとえ寝ないででもやるという気持ちのほうが大事である。

[■]学生と面接していてどうして行政の人はやる気がない人が多いのかと聞かれる。行政マンになりたい学生に理由を聞くと、楽だとか、安定しているとか。本当かどうかは別にして、楽だからとか、つぶれないからというのが発端の人が集まったら、そういう職場になってしまう。世の中をよくしてやろうという人ばかりが集まればそういう職場になる。

[■]シンクタンクでは、やる気がある研究員が逆に辞めていく。だいたい十年たつとドクターコースだとか、海外留学したいとか。それをやってある分野のプロをねらって採っていくと、最後は中途採用になる。

[■]新卒者を採るということはすごく難しい。10人採るとして、半分ぐらいは新卒でも、残りは「志」で選ぶとか、そういうことも問題提起したい。

[■]大量退職時代に対処しながら、これからはゼネラリストを採るのではなくてプロだけにするんだと。プロが辞めた後は必ず補充するけれども、ゼネラリストが辞めても補充しないという基本方針を立てるべき。

[■]民間企業で役職定年をしているところは、同期よりも下の人が部長になったら、その課長クラスの人は全員課長からはずれる。その代わり、その段階で生涯退職までやるプロジェクトを一つ持って、それが部の単位になるのであればもう一度部長になるという道を残す。

[■]民間企業だとラインの課長だとタクシーのチケットを持っていたり、交際費を切れるのに、ラインを持たないと職権を何も使えなくなるので誰もついてこなくなる。それが一つの評価、処遇である。民間企業でラインをはずれた課長相当職は、上司も部下も居なくて給料は自分で稼げということになる。

[■]最近はリストラが一般化して人材会社がたくさんできた。リストラの人員を受けて溜め込む仕事をしている。その面接にいった人の価値が年収いくらかを評定する。銀行OBだと、融資課長をやっていて財務分析ができて資格も色々持っていて公認会計士一歩手前というような人は高いが、支店長で判子ばかり押していた人は値が付かない。若い人でも一千万で外資が雇うということになる。

[■]リストラされて最初にショックを受けるのはまず働きが無くなったことで、職安に行って、あなたは何ができますかと聞かれて答えられないこと。特にエリートで名刺の肩書きで仕事をしてきた人、社長のゴルフのお供をしてきた人ほど答えられない。それよりも算盤が一級とか、税務申告書を書けるとか、給与計算ができるということの方が価値がある。

[■]企業の人事評価委員会では、一人ひとりを呼んでみんなであなたは何ができるかと、がんがん質問する。そこを洗いざらい出させる。始めからうまくいかなくても1年後にまたやる。それを3年から5年やると社員がえらく勉強するようになる。役所にもそういう育てる期間が必要ではないか。

[■]職員の研修はどうなっているのか。
→階層別研修は、主事補・主事・主任主事・監督者・管理者の階層ごとに実施している。そのほか仕事ごとに例えば土木技術の研修とか。年に一人か二人は高度な行政知識を得るために自治大学校に派遣している。トップの考え方を聞く研修とか、目標管理制度の研修なども行っている。

[■]これから行政マンに必要なのは、市民の心、立場が分かる人であることも大切で、地域貢献など、仕事以外に何をやっているのかということも重要だと思う。

[■]研修の中に、市の職員を地域活動に送り込むものがあってもいいのでは。

[行政のプロとは]

(□)行政のプロというのは、プロ意識を持っていなければいけない。手法を知っているだけではなくて、俺が何とかしてやるという意識を持った人が中心になってくれなくてはいけない。
(□)プロに二通りある。行政サービスのプロと行政運営のプロである。例えば福祉、教育、あるいは施設建設あるいはインフラ整備のプロと、それを外注するプロとか、運営管理のプロとか、情報化のプロだとかがいて、そこの組合せである。

[行政のプロが果たす役割]

(□)行政のプロをまず一番最初に育成しない限り行政の改革はできない。民間では、まだ仕事のできる余力があるのに外部に出すなんてことはあり得ない。空いた人の職種の転換とか、再教育して不満が出ないよう仕事を異動させることこそが経営管理のプロがやること。そこが無い。何もしないで残したままなら、いつまでも現状がそのまま残ってしまう。
(□)学校給食は規模の利益が出ない。端から儲からないと決まっていることが直感的に分かると、それでサービスの質が落ちないで栄養士や色々な人がいて、ちゃんとできる方法は何か、それを考えるプロが行政の中で育って欲しい。
(□)人口規模が小さくなるとか、色々な面で小さくなることを前提にしたら、そこをスムーズにやれる行政のプロがいないと、民間手法を取り入れると言っても、民間は採用停止とか、雇用の中断ができるという条件があるが、地方公務員の場合はそう簡単に辞めてもらうということにはならない。
(□)民間企業だと風土改革だとか、活性化だとか、みんなをうまく盛り立てるチームがある。行政は、決められた仕事をちゃんとやるということを本旨としているから、盛り立てるのが不得手である。プロのというのは、いわばプロのプランナーではないか。
(□)課の中にプロがいなければいけないかというと、タスクフォースでもいい。何か課題が出てきたら、情報化のプロと運営管理のプロとサービスのプロとが一緒になって議論したり、そして1年なら1年かけて改革、改善が終わったら次のテーマに行くという運営でもいい。
(□)民間企業も人次第である。昔は非常によく教育を受けたが、10歳、20歳下の連中にそれと同じような教育をしてきたかといったら、本当にしていない。市役所のほうも忙しさという点があって、教育というか、人間の育成という点では、やはり欠けているところがあるのではないか。そんな意味で行政のプロの育成の所が必要である。
(□)日本の行政職員は、基本的に全部ゼネラリストである。それは4月1日に入所して、そしてそれが数年ごとに色々な部署を経験しながら傘型に上がって色々なところを経験する。だからゼネラリストになってしまう。かつて日本の民間企業もそうだったが最近はある程度プロを使うようになってきている。それを後追いして自治体でもそちらに行こうとしている。
(○)市長を社長と考えれば、最小の経費で最大の効果を上げる。要するに市民サービスを落とさないように、あるいは現状維持をということになると思うが、部署によってプロを配置することが大事。
(○)例えば、運転手、ビルのメンテナンス、プログラムを組む人あるいは給食の人がなぜ公務員でなければいけないのか。逆に本来政策の根底に関わり公務員でなければいけないのに公務員がやっていないものもある。学校の建物を建設するならば、学校の建物の建設をずっとやっている教育委員会にそういう専門の人がいたら、そこに一番ノウハウがあるわけで、教室はどうあるべきかだと、廊下はどうあるべきかだと、トイレの位置はどこにすればいいというのが必ずある。そういうノウハウがある人が図面を書くと使いやすいものになる。福祉センターのようなものを造るとしたら、そういうものの設計のプロが行政にいなければいけない。そこはノウハウが蓄積される。そうすると、その人が考えたらこの図面を作ってきた会社が、これはできる会社かできない会社か、能力があるかどうか見極められる。それが本来である。
(○)今、福祉関係はどこの市でも事務が複雑で膨れあがってきている。福祉の専門知識を持っているプロがいたほうがいい。
(○)行政のプロだけで成り立っている市役所になれば。急に減らすわけにはいかないが、定年で自然に退職していく中で必要な人だけが残っていく、あるいは、再教育する。そういうシステムを確立した上で仕事のプロになる。そういう人達がやらなくてもよい点については外部に委託する。
(○)大胆な人事システムの変革のほうがコスト削減につながっていくだろう。長期的テンポに立って、徐々にそちらへ移管していかなければならない。そういう構想みたいなものをどう持っていくか。
(○)行政のプロとは何か。そういうプロが評価される組織になっているか。行政独特の人事・労務、財務、行政の原価管理、こういうプロがいない。そういうふうにしてプロを育てていない。いろいろなところを回って、行政手続は詳しいけれど、判断基準が一番すぐれているかというと必ずしもそうではない。
(○)色々な課を回ってきて教育委員会に来て担当課長になって最初はなかなか学校のこととか教育のことは分からないと言っていながら、ずっと付き合っていくと相当理解してくれるようになる。お互いに想像をめぐらして色々なアイデアを出し合えるような関係になってくる。その頃になると異動になるというのがある。担当の方が代わってしまうとまた一からやり直しになってしまう。個人の能力だとか、一人一人の資質とかの前に、そういうシステム上のことでせっかく構築したそういう人間関係なり、仕事に対する共通のベースみたいなものが生かされてないのではないか。ただ、逆にずっと長くやることの弊害もあるから、その辺がどうなのか。
(○)行政マネジメントの専門家、政策立案の専門家、市民とのネゴシエイションの専門家も当然必要。民間企業だと営業マンがいたりマーケティングやる人がいたり、でも行政にはそういう人がいない。それから法律の専門家、あるいは人権だとか、民主主義だとか、環境行政だとか、消防だとか、防災だとか、税だとか、この点についてはやはり専門の方が必要で、あとは行政事務の専門家とか、事務改善の専門家とか。こういう人は職場を十も二十も経験する必要はなくて、せめて二つか三つというそういうのをうまく整理できたら、そこがきっかけになって、例えば行政事務の効率化という話の6の項目の殆どはすぐできるし、業務委託でも色々な手法が考えられると思う。何よりも大切なのは、じっくり時間をかけて、ゆっくりやっているように見えるけれども10年経ったら、10年前とは隔世の感があるというくらい思い切って変わった市役所になったらいい。
(○)こんな体制でいけるようになるんだという絵図面を描いて、今いる人に仕事はやってもらわねばならないが、足りなくなったところは行政のプロでなければいけないなら、いけないなりにプロを育てる。プロでなくてもいい仕事ならシルバーでもボランティアでも、どちらでもというような色分けをしていくと市民へのサービスはまったく落ちなくて、追加して人件費を支払わなくて、いい仕事ができるようになる。
(◆)混み合う時間帯に短時間働く職員を雇おうとすると、行政のプロとして、そういう職員のシフトとか、人員の構成とか、仕事の手順のプロを行政は持たなければ。
(◆)行財政改善というと何でも減らせとなるが、そうではなくて、サービスは金をかけないで増やす、金がかかる所は金を減らすがサービスは減らさないという趣旨でまとめたい。そういう知恵を出すのがプロの行政マンで、職員に頭を下げろ、汗をかけ、知恵を出せというのはそういうことだ。

[職員採用]

(◆)新規採用は若い人を採るから将来ずっといる。そういうことからすると採用は少なくともしないというぐらいの覚悟でやっていかないと。業務委託の問題は、人事政策がちゃんと基本線を守っていく必要がある。
(◆)定年退職者の減員分は少なくとも補充しないという基本姿勢が必要。採用するなら正規職員ではなくて職員をOBをいかに活用するか。それを最低やるべきではないか。
(◆)定年退職者は、純粋に定数から削減していく。だんだん高齢化するじゃないかと言われたら、例えば50歳より前で辞めた職員の半分は補充するとか、何かルールを決めてやっていくべき。しかも採用するには多様な雇用形態で。

▼ 職員の定数については、なぜ新規採用しなくてもいいのかということを市民に明らかにしなければいけない。

[能力主義、成果主義]

(○)職員は若い人であろうと中年であろうと能力主義というかたちにはなっていくだろうから、賃金が高いの安いのがこれから両極端になっていく。それが正直なところプロだと思う。能力を発揮できない人の処遇をどうやるか、そういう人たちに対する仕事をどうやっていくか、これから大きな課題である。できる人とできない人の分極、分化ができてしまうのは正直やむを得ない。
(○)職員は一定のレベルの者を採用したとしても自分を磨いて能力を発揮して上に行く職員と、役所に入ったんだから最低限のことをやって、クビにならないことをやっていればそれで保障されるんだと、このギャップがかなりあると思う。そういう部分をやはり役所としてどう管理するか、埋めていくのか。

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